清滝村の歴史:水との共生が育んだ教訓

【特集】古文書に記された「二重の災い」:清滝村と水害の記憶

清滝村の歴史は、清滝川からの豊かな恵みとともに、水の猛威との戦いの歴史でもあります。古文書には、近年の記憶にはない、極めて深刻な水の災いの記録が残されています。

1. 鉄砲水による生活基盤の喪失

清滝村は急峻な山間部に位置するため、数十年周期で局地的な豪雨に見舞われてきました。

鉄砲水(土石流)の発生: 大雨は古木の滝から一気に流れ下る鉄砲水となり、大量の土砂や岩石を巻き込みながら村を襲いました。

複合的な水の災い: この水害は単に集落を浸水させるだけでなく、村の生命線である井戸や湧水路、生活用水を引くための水路を全て埋め尽くし、水の確保を極めて困難にしました。大量の水が流れた後にもかかわらず、村は水を利用できない状態に苦しみました。

2. 「二重の災い」からの復興

水路の破壊により、村は飲用水も農業用水も失い、鉄砲水と、それに続く干ばつという「二重の災い」に苦しめられました。

水神への祈り: 悲劇的な状況の中、村の祖先たちは古木の滝の水神に救いを求め、「この地で生き抜くための知恵と勇気」を懇願しました。

復興への道のり: 祖先たちは、水神への感謝と敬意を胸に、「水の秩序を守る」という教えを礎としました。そして、この教えに基づき、共同体で力を合わせ、水路を再建し、棚田を築き直すという復興への道を歩み始めました。